2012年6月12日火曜日

野田政権の1年その①


 
●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年8月17日号(ゲラ刷り)



 

●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2012年8月24日号(ゲラ刷り)


民主党は代表選の日程について22日の役員会で週明け27日告示、29日投開票する方針を決めた。中1日に党主催の討論会を開催する予定だが、たったの3日間の選挙戦では政策論争は深まらない。しかも、数は力とばかりに刑事被告人の小沢一郎元代表が出しゃばってくれば、国民どっちらけの代表選になりそうだ。
 これまでのところ立候補に意欲をみせているのは、すでに推薦人20名を確保している野田佳彦財相、鹿野道彦農相、馬淵澄夫前国交相の3人に加え、海江田万里経済産業相、小沢鋭人元環境相、樽床信二元国会対策委員長、原口一博前総務相ら。「本命野田に対抗鹿野、穴が馬淵」といったところか。ただし、出馬が取り沙汰される前原誠司前外相の動向次第で戦況は一変する。(もっとも、当初は野田氏の支持にまわるとみられていた前原誠司前外相がここにきて急転直下、出馬を決めたことで戦況は一変した)
 支持層が重なる野田、前原両氏が激突すれば、党内最大グループを抱える小沢元代表が推す候補が、一気に大本命に躍り出ることになるからだ。
それが、鹿野氏になるのか、馬淵氏になるのか。あるいは第三の候補が現れるのか。いずれにせよ、代表選の結果次第では民主党はまたもや小沢支配の恐怖政治に逆戻りである。
前原前外相の出馬が取り沙汰されるの(出馬を決意したの)は、そんな危機意識のあらわれとも言えよう。
小沢氏の党員資格停止処分の見直しが、代表選のにわか争点に浮上してきたのもこのたまだ。
 党内基盤が脆弱な馬淵前国交相は21日のテレビ番組で「新事実によって見直すことは一般論としてあってもよい」と主張、小沢元環境相も「前から処分は厳しすぎると言っている」と述べ、小沢元代表の支援に期待を寄せる。
 これに対して前原前外相は「現執行部の判断を尊重すべきだ」として処分見直しに反対する姿勢を崩していない。
 もっとも、さすがの小沢氏も今回ばかりは、傀儡政権の批判を浴びかねない露骨な候補者支援はやりにくい。人気者の前原前外相が相手となればなおさらだ。
 小沢元代表の次の一手が見物である。あるいは、敵の敵は味方とばかりに党内融和を掲げる野田財務相に乗っかる可能性もなくはないが。


●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2012年8月28日号(ゲラ刷り)


民主党代表選への出馬を決めた前原誠司前外相は24日、小沢一郎元代表と会談し、挙党態勢の構築を目指す考えを伝え、支援を要請した。
会談はわずか5分間。小沢氏がどう応えたのか詳細は伝わってこないが、党内最大グループを率いる小沢氏と人気で勝る前原氏が手を結べば、29日の投開票を待たずに新代表が決まる。
野合批判を浴びるだろうが、もともと民主党は結党の理念政策バラバラの野合で生まれた政党である。挙党態勢を第一に考えるのであれば、批判は甘んじて受けるしかない。
もっとも前原氏の後見役である仙谷由人官房副長官は小沢氏の天敵だ。相互不信の根は深い。それでも前原氏が支援を求めるのであれば、党運営の全権を小沢氏に委ねるくらいの覚悟が必要だろう。
 前原氏の出方次第では、あるいは小沢氏が主流派の分断を狙い野田佳彦財務相を支援することもある。野田氏ならば急激な世代交代を嫌い、鹿野道彦農相を推すベテラン議員の支持が期待できる。さらに政権交代後、陽の当たるポストを独占してきた前原グループへの反感もあり、前原氏や枝野幸男官房長官より年齢が上で次の次をうかがう樽床伸二元国対委員長や小沢鋭仁前環境相ら中間派の支持も得やすい。
 多くのマスコミは「選挙の顔」になる前原氏を本命視しているようだが、業界団体をフル稼働させる組織戦が得意な小沢氏とって「前原人気」はアドバンテージにならない。政権をコントロールする上で「前原人気」はむしろ障害となる。
だったら前原氏よりも性格温厚で地味な常識人の野田氏を担いだ方が安心だ。一審無罪判決を得て復権をはたすまでの時間稼ぎにはちょうどいい。前原グループが党内で孤立すれば、仙谷氏の牙を抜くこともできる。
 それに「選挙の顔」を決めるのは来年9月の代表選だ。小沢氏自らが出馬しなくても、細野豪志原発担当相や玄葉光一郎国家戦略担当相、馬淵澄夫前国交相ら次世代のホープを野田内閣で要職に起用し、前原氏に代わる新しい「選挙の顔」を育てればいい。それまでに政権交代の実績を積み上げ、国民の信頼を取り戻す。解散総選挙はそれからだ。きっと小沢氏はそう考えているはず。前原氏は出馬表明で「政治生命を賭ける」と述べていたが、勝負時を読み誤ったのかもしれない。勇み足にならなければいいが。


   




お盆明け永田町はいよいよ、ポスト菅の民主党代表選一色に染まる。ただし、今回の代表選は結果が即、首相の座を約束し、政権の安定につながるとは限らない。あるいは場合によって自民党に首相の椅子を明け渡すことになるかもしれない。
先行逃げ切りをはかる本命候補の野田佳彦財務相がブチ上げた大連立と増税路線の是非をめぐり、与野党の思惑が入り乱れたそんな複雑な展開になりそうだ。
 もっとも、大連立について野田氏は14日のテレビ番組で「ベストを狙うところから話をするのが筋だ。各党の正面玄関に立って、コツコツとノックして(大連立を打診するという)きちんと例を踏まえた対応をすることが大事だ。現実的には閣外協力、部分連合もあるが、意志決定を迅速にし、お互いに責任を持ち合う体制にした方がいい」と述べており、何が何でも大連立との立場でもないようだ。
 また、党内世論も「政調会長として野党との協議を進めてきた関係からも、(与野党協力が)非常に大切だと痛感している」(玄葉光一郎政調会長兼国会戦略担当相)、「こういう国会の情勢なので、各党からいろんな形で協力をしっかりしてもらえるよういしなければならない」(細野豪志原発事故担当相)との考えが支配的だ。そうであれば、大連立の是非は自民、公明両党の出方を待つしかなく、代表選の争点にはなり難い。
 それより何より、代表選を通じて議論を深めて欲しいのは経済財政政策である。中でも直近の課題となる総額10兆円を超える第3次補正予算案の財源については、誰が代表となっても党内の意見集約を行う必要があろう。
 復興財源のための臨時増税に積極的な野田氏に対して、これも代表選への出馬が期待されている前原誠司前外相は別のテレビ番組で景気後退や企業の海外流出の懸念があるとして「この1、2年は増税でやるのは極めて慎重であるべきだ。無駄の削減も手がつけられていない面もある」と異を唱えている。
 自、公両党に大連立を呼びかける前に、まずは民主党内が一つの政策でまとまるかどうかが、政権の安定には不可欠だ。まさに新代表の力量が問われる代表選最大のポイントでもあろう。


●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2011年8月19日号(ゲラ刷り)

 大連立について自民党の石原伸晃幹事長は17日のラジオ番組で「来年度予算案ができたとき、あるいは通ったときに約束できるか。民主党内をまとめられるリーダーが出てくれば可能性はゼロではない」と述べた。
 支持率急伸の自民党にとって解散は早いに越したことはないが、それならば今国会、特例公債法案の成立を阻止すれば、望みは叶っていたはず。石原氏は「われわれが協力すべきは東日本大震災の復興だ」とも述べているが、先に解散ありきでは本気度が疑われよう。
 もっとも民主党内をまとめられる人材がいるかといえば、これも疑わしい。つまりは大連立の可能性は「ゼロではない」ではなく、限りなく「ゼロに近い」と見た方がいいだろう。
 1999年4月1日付朝日新聞朝刊は政治面トップに「首相、閣僚に外国人登用」の見出しで「政界の深刻な人材難を解消する緊急策として小渕恵三首相は“閣僚等国家公務員特別職国籍制限緩和臨時措置法案(大臣ビックバン法案)を今国会に提出する方針を決め、4月1日は発表する」と報じている。
もちろんジョークだが、本文には「経済は戦後最悪の複合不況が続き、外交面も冷戦後の安全保障・外交戦略が定まらない状態だ。その背景に、政治家への道が二世や官僚OBなど特定のルートに偏り、必要な人材が集まっていないことが指摘されている」とある。  政治の無力を当て擦ったものだ。
そして2011年8月今現在、経済にしろ、外交にしろ、政治状況は当時より格段に厳しくなった。一方で人材については、元キャバクラ嬢やら愛人やら、バリエーションは豊富になったものの、首相が務まる人材は見当たらない。
おそらく戦後日本が国会を背負う真の意味のエリート育成を怠ってきたツケが回ってきたのだろう。個利個略に走る戦後世代の政治家たちの不様な姿は、その象徴だ。
そろそろ、ジョークではなく真剣に広く人材を国内外に求めることを検討したらどうだろうか。

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