2012年6月18日月曜日

小沢一郎と愚かな仲間たち①

検審控訴で遠退いた小沢一郎の完全復権
●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2012年5月11日号 

民主党の小沢一郎元代表(69)の一審無罪判決を受けて今後の対応を協議していた検察官役の指定弁護士3人は9日、「一審判決には看破しがたい事実誤認がある」(大室俊三弁護士)として東京高裁に控訴する方針を決めた。賢明な判断である。
そもそも一審判決は、政治資金報告書への虚偽記載で小沢氏と元秘書との間に「報告・了承」があったことを認めていながら、共謀罪については「虚偽記載にあたると認識していなかった可能性があり、故意の立証が不十分」と退けてしまった。限りなく黒に近い無罪判決である。
しかも、無罪判決の根拠となった虚偽記載の認識については公判で争われた形跡はなく、無罪判決のための後付けの理屈でしかない。指定弁護士側からすれば「看破しがたい事実誤認」である。高裁の判断が見ものだ。とはいえ、指定弁護士側もこれまで以上により説得力のある「故意の立証」が求められよう。
かくして渦中の小沢氏は再び刑事被告人に逆戻りだ。これでは党員資格停止処分が解除されても、完全復権の道のりはなお険しく、いいや、ほとんど絶望的である。
小沢氏は「理解に苦しむ。早期に公訴棄却もしくは無罪という結論が得られるよう、万全の対応を取りたい」との談話を発表したものの、手詰まり感は否めない。
 むちろん、政局混迷の元凶ともいえる小沢氏の不幸は、国民にとっては歓迎すべきことだ。
今国会、税と社会保障の一体改革はせめて道筋だけでも示してもらわなければ困る。それを消費税増税一つだけを取り上げ、政局の道具にするような小沢氏の政治手法は百害あって一利もない。本来は司法の手を煩わせるまでもなく、政治の自浄力が問われるところだ。
小沢氏の控訴を決めた指定弁護士の判断を待たずに党員資格停止処分の解除に走ったのは民主党の輿石東幹事長である。声を大にして異を唱えた党幹部は前原誠司政調会長一人のみ。情けない話だが、これが民主党の限界である。

2012.9  築地にて


刑事被告人・小沢一郎への過剰な期待は禁物である
●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2012年6月1日(ゲラ刷り)
 国民注視の中で30日に行われた野田佳彦首相と民主党の小沢一郎元代表との話し合いは不調に終わった。消費税増税関連法案の今国会成立に協力を求める野田首相に対して小沢元代表は「大増税の前にやることがある。賛成と言うわけにはいかない」とこれを拒否。会談後、記者団を前に「政権交代に向けた総選挙で無駄を省き、その財源で政策を実行すると言った。国民は約束が緒についていないという認識を持っている。年金制度改革などのビジョンが忘れ去られ、増税だけが前面に出ている。とても一体改革とは言えない」と述べ、消費税増税に前のめりの野田首相を批判した。
会談をセットした輿石東幹事長は「党内結束のため、さらに汗をかきたい」と述べていたが、野田首相に仕える幹事長としてやるべきは、小沢氏を説得し、党の決定に従わせることである。それができなければ、小沢氏には党から追い出すのが次の仕事だ。汗のかき方を間違わないでもらいたい。
「あくまでも、民主党の党内問題だ。野田さんには党内対策のため(だけ)に、エネルギーを注ぐひまはない。大事なのは野党にどう対応していくかだ。仮に党内が収まっても成立するわけじゃない」
 たちあがれ日本の園田博之幹事長の発言だが、まったく同感である。
 この日行われた衆院の社会保障・税一体改革特別委員会で岡田克也副総理は「最終的に(小沢氏の)了解を得られなかったのは残念だが、首相の全くぶれない姿勢が明らかになった」と述べていた。
中途半端な妥協は国益を損なう。ここまでくれば野田首相も小沢元代表も党分裂覚悟でそれぞれが信じる道を突き進むことだ。どちらが正しい道かは、いずれ国民が判断するだろう。
もっとも小沢氏の政治行動には過去、国民は幾度となく振り回され、煮え湯を飲まされてきた。ましてや刑事被告人となった小沢氏の政治力に過剰な期待は禁物である。


2012.5.30  築地にて

小沢グループの邪悪な謀み粉砕せよ
●東京スポーツ「永田町ワイドショー」2012年6月8日号(ゲラ刷り)


自民党の谷垣禎一総裁は6日、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革法案をめぐる民主党との修正協議に応じる意向を示した。
周知のとおり、野田首相は同関連法案の衆院採決の期限を6月21日の会期末と決め、自ら退路を絶った。逆算すれば、18日にメキシコで開催のG20首脳会議出発前、15日までに修正協議をまとめておかなければ国会日程上、間に合わない。そうなれば野田首相は政治責任を問われて政局は混乱し、国民生活は大打撃を受けるところだった。谷垣総裁の決断を高く評価したい。
さて、そうであれば次は野田首相が決断する番だ。社会保障と税の一体改革関連法案は全部で7本あるが、修正協議に費やす時間は残り少ない。両党の主張に隔たりが大きい法案はこの際、継続審議なり廃案にして、仕切り直してはどうか。自民党は最低保障年金制度や後期高齢者医療制度廃止の撤回を求めている。社会保障制度の大改革は与野党の立場を越え、じっくり時間をかけて結論を出した方がいい。
それに7法案すべてを今国会で成立させるためには大幅な会期延長が必要となる。参院の審議日程を衆院と同じ100時間程度確保するには延長幅はざっと40日、最悪8月お盆をまたぐ長丁場となろう。そして9月、民主、自民両党は代表選に雪崩れ込むが、野田首相と谷垣総裁の2人共に再選される保障はない。民主党内には国会会期の大幅延長を口実にした代表選前倒しの声もある。野田首相の再選を阻み、修正協議の破綻を狙ったものだ。誰と言わずともお分かりだろう。消費税増税と話し合い解散に反対する連中である。
彼らの邪悪な謀みを粉砕するためにも、野田首相は欲張らずに合意可能な修正法案を成立させ、できるだけ早く国会を閉じてしまうことだ。
その上で話し合い解散に進むもよし、あるいはこのまま民自大連立で積年の政治課題を一気に片づけてしまうのもいい。解散は先送りとなるが、自民党の政権参加で政治が前に進むのであれば、反対する理由はない。国民も理解してくれるだろう。

2012.6.6  築地にて

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