2012年7月7日土曜日

小沢グループの離党で遠退いた解散総選挙

 民主党を追い出された小沢グループが4日、新党結成の準備会合を開いた。衆参両院議員50人が新党に参加の見込みだ。どうか路頭に迷うことがないよう、今後の無事を願わずにいられない。
それにしても離党届けを出したり引っ込めたり、新党に参加するとかしないとか、忙しない人たちである。おかげで消費税増税関連法案の成立は大幅に遅れそうだ。
小沢氏は「国民の生活が第一だ」と言っていたが、国民からすれば迷惑この上ない造反劇であった。親切の押し売りは止めた方がいい。
「政権の正統性は分裂劇でなくなった。1日も早く国民の声を聴くよう首相は決断する責務がある」
 自民党の石原伸晃幹事長は3日の記者会見でこう述べ、消費税増税関連法案成立後の速やかな解散総選挙を求めた。ぜひ、そうあって欲しいものだが、事はそう簡単ではないようだ。むしろ、小沢グループの離党でかえって解散総選挙は遠退いてしまったようだ。
まずもって、解散権を握る野田首相にその気がないのだ。漏れ伝わるところでは、野田首相は水面下、財務省を通じて自民党の有力議員らに来年度予算案の共同編成を打診しているという。虫の良い話だが、自民党にも早期解散の建前とは別に、民自連立で事実上の政権復帰を望む声があるのも事実だ。政局が民自大連立の流れになれば、それこそ早期解散を求める意味そのものがなくなってしまうから、野田首相は続投、早期解散を求めてきた自民党の谷垣総裁も秋の総裁選の再選に道が開けよう。
あるいはそうならずとも、続投意欲満々の野田首相に解散を迫る手は限られている。一つには、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案成立への協力と引き替えにして、野田首相に解散を約束させる話し合い解散。それがダメなら小沢新党と手を結び内閣不信任案を可決させるしかないが、残念ながらどちらであっても決定打にはならない。
昨年6月の菅下ろしの例を持ち出すまでもなく、野田首相が民主党の政権転落を早めるだけの早期解散を選択するはずがない。政党人であれば、秋の民主党代表選を待ち、新しい代表の下で党勢を立て直す道を選択するはず。幸いのことに小沢グループが出て行ってくれたおかげで消費税増税に反対する候補が代表に選出される可能性はなくなった。つまり、小沢グループの離党で野田首相は続投と退陣の二つの選択肢を得たことになる。
気がつけば政局は野田首相の思い通り。柔道に喩えれば、ジワリジワリと敵の関節を締め上げる寝技か、それともさそいつり込み足か。強かな政治家である。

2012.7.4  築地にて

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