2012年7月3日火曜日

小沢一郎の「政治とカネ」①

小沢疑惑をめぐる政権与党と司法の汚い裏取引
東京スポーツ「永田町ワイドショー」201019日号

 民主党の小沢一郎幹事長の土地取引をめぐる一連の疑惑捜査がいよいよ週明けヤマ場を迎える。
 復習しておくと、小沢氏の資金管理団体「陸山会」が04年10月に購入した東京都世田谷区の土地代金約3億4千万円が小沢氏の個人資金だったにもかかわらず、当時、会計事務担当だった石川知祐衆院議員が定期預金を担保にした銀行借り入れを偽装して政治資金規制法の虚偽記載に問われてのもの。東京地検特捜部は石川氏を在宅起訴する方針だが、これを裏付けるために小沢氏本人の事情聴取を求めているところだ。
 いったい小沢氏は3億4千億円もの巨額の資金をいったいどこから調達してきたのか。鳩山由紀夫首相が母親から提供された巨額資金の使途、いわば「出」の部分が問われて
いるのに対し、小沢氏の場合は資金の「入」の部分が問われているわけだ。
この「入」の部分があるいは公共事業を見返りにしたゼネコンからの汚れた資金であれば、政権与党最大の実力者に司直の手が伸びる可能性もある。
 もっとも、民主党が導入に積極姿勢を見せる容疑者取り調べの「完全可視化」を阻止したい司法当局と小沢氏との間には、事情聴取を捜査の幕引きにした裏取引がすでに成立しているとの情報もある。
いずれにせよ、「首相の元秘書2人が在宅と略式で起訴され、小沢氏の秘書らが起訴や事情聴取されていることも合わせると、政治の常識ある倫理観の範囲では異常で異様」(大島理森自民党幹事長)である。
鳩山首相共々、小沢氏には司法の判断とは別に国民への説明、政治家としてのケジメが求められよう。
 自民党は次期国会で小沢氏本人や石川議員、西松建設からの献金事件で公判中の大久保隆規秘書ら計5人の衆院予算委員会への参考人招致を求める方針だ。喚問を拒否すれば、国会審議は空転、来年度予算の年度内成立が危ぶまれる。それでも小沢氏を守るのか。民主党の出方が注目される。



小沢強制捜査で問われる政権与党の責任
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2010年1月16日号

 いよいよ週明け18日、国会が幕を開ける。予算の早期成立が待たれるところだが、民主党の小沢一郎幹事長周辺に東京地検特捜部の強制捜査が入ったことで、国会は冒頭から大荒れ必至だ。予算の成立が遅れれば、景気の足を引っ張る。鳩山政権の責任が問われよう。
「国会にできるだけ影響を与えないように、一生懸命やるしかない。内閣として一致結束してやる。党も一丸となって、臨むしかない」
 鳩山由紀夫首相は14日の記者会見でこう述べ、あくまで小沢幹事長を擁護する姿勢を見せている。事の深刻さをまったく理解していないようだ。
 小沢幹事長に突きつけられた疑惑は土地取引をめぐる形式的な政治資金規正法違反に止まらない。約3億4千万円の土地購入資金の一部に岩手県胆沢ダム工事の発注で受け取った口利き料1億円が充てられたのではないかとの指摘を受けている。さらにここにきて西松建設の巨額脱税事件にからみ、小沢幹事長の元秘書で政治資金規正法違反に問われている民主党の石川知裕衆院議員らに証拠隠滅の疑いも浮上している。
 勢いづく自民党は谷垣禎一総裁が「小沢氏本人が説明責任を果たすことが必要だ。証人喚問や参考人招致などあらゆる手段を駆使し、真相解明したい」と述べ、予算審議に先行して、小沢疑惑の徹底究明を求める構えだ。
これに対し小沢幹事長は13日の講演で「国民も理解してくれたから、政権を与えてくれたのではないか」と開き直った。しかしながら、選挙結果と小沢疑惑とは何の関係もない。ましてや新たな疑惑が明るみになったのが選挙後であればなおさらだ。
それでも鳩山首相が小沢幹事長を庇い続けるというのであれば、国民不在の党利党略が批判されよう。
何より最優先すべきが予算の早期成立であれば、ここはやはり国会の場で充分な説明責任を果たすよう小沢幹事長に求めることこそが、首相としての振る舞いではなかろうか。


全面対決から一転、小沢一郎が事情聴取に応じた狙い
東京スポーツ「永田町ワイド」2010年1月21日号  

東京地検特捜部と全面対決する姿勢を見せていた民主党の小沢一郎幹事長が、これまで拒んできた事情聴取に応じる方針に転じている。
心変わりの理由を小沢氏は国会開会の18日、「私の不徳の致すところでございますが、これだけメディアの批判をいただけば、影響が出てくる。私としてはできる限り公正な捜査に協力しながら、早い機会に国民の皆さんにも理解できる結論を得て参院選に臨みたいと思っています」と記者会見で述べている。事件の参院選への影響を問われてのもの。
マスコミ各社の世論調査で鳩山内閣と民主党の支持率が急落。小沢氏への説明責任を求める国民の声に抗しきれなかったのだろう。
 もっとも、自民党時代からかつてのボスたちが「政治とカネ」の問題で失脚していくのを目の当たりにしてきた小沢氏である。そこにはしたたかな計算が働いていると考えた方がいい。
 まず第一に、これまで小沢氏が事情聴取を拒否してきたのは、応じればそのまま身柄を獲られてしまうのではないかと怖れていたからに他ならない。つまり、思い当たる節があるからだが、国会開会中は逮捕される心配はない。たとえ小沢氏の容疑事実がつまびらかにされたとしても、民主党が圧倒的多数を占める国会が、特捜部の求める逮捕許諾請求に応じるはずがないからだ。3月の時効まで粘れば、小沢氏は晴れて無罪放免となる。
 さらに事情聴取に応じることで国民世論の不満をガス抜きできるのではないかとの期待もあろう。
 そこで思い起こしていただきたいのは、新党大地の鈴木宗男代表のケースである。ムネオ疑惑を国会で追及された鈴木氏は、国会混乱の責任を取り国会ナンバー3の地位である議院運営委員長の職を辞し、国会の求めに応じて証人喚問に応じたものの、それでも批判が収まらずに、ついには離党に追い込まれて司直の手に落ちている。
 このケースに当てはめれば、小沢氏が問われる政治責任は、まず幹事長としての進退となる。ところが、小沢氏の場合は本来、素直に応じるべき任意聴取を拒否してきたことから、これに応じただけでも、大きな政治責任をはたしたように少なくとも民主党支持者は錯覚してしまうだろう。それこそが、まさに小沢氏の狙いである。はたして国民が納得するかどうか。次の世論調査が見物だ。



小沢一郎の疑惑追及でマスコミ批判はお門違い
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2010年1月28日号

「形式犯に過ぎない政治資金規正法違反容疑で現職国会議員を逮捕するのは、検察ファッショだ」
「検察は官僚組織の解体を目論む民主党政権を潰すために事件をねつ造しようとしている」
「検察リークに基づく一方的な情報を垂れ流し、民主党の小沢一郎幹事長を犯罪者扱いするマスコミはけしからん」
民主党やマスコミの一部に見られる小沢擁護論は概ねこの3点に集約されるのではなかろうか。つまり、小沢疑惑は検察とマスコミ(この場合は司法クラブに所属する大手メディアの社会部記者)のねつ造であり、フィクションだとの主張である。
 確かに検察のリークは存在する。ただ、全マスコミがこれを一方的に垂れ流しているかと言えば、答えはノーだ。紙面を読み比べれば、明白である。
もう一ついえば、事件の核心に迫ろうとする社会部記者は、疑惑の人物やその周辺、捜査当局の動きを取材しつつ、日々の紙面を埋めている。時に検察の捜査情報に偏ることもあれば、逆もまたある。事実誤認があれば、その都度訂正記事を掲載し、軌道修正をはかりながら事件の全容を明らかにすることこそが国民の知る権利に応えるマスコミの使命であり、記者としての職務である。
 また、少なくとも検察が捜査対象として強制捜査に着手した事件となれば、犯罪性が高いとみて取材するは、社会部記者として当然である。権力者の犯罪であれば、なおさらだ。 
小沢幹事長を犯罪者扱いしているかどうかは、それこそ読者の判断に任せればいいことである。
むしろ、これを国権の最高機関とも言える立法府と行政府の実権を握る政権与党が束に
なって否定し、小沢擁護に突っ走ることの方がよほど危険である。
 むろん、検察も権力であれば、冤罪を防ぐためにも捜査への厳しいチェックは必要である。マスコミの相互批判もあっていい。
 しかしながらそのことが結果として、小沢疑惑の本質から国民の目を逸らすようなことになれば、本末転倒である。
 一般的に言えば、政治資金規正法の虚偽記載は形式犯かもしれない。税務申告でいえば申告漏れ。修正申告して本来払うべき税金を納めればいいことになる。母親からの巨額の資金援助がバレた鳩山由紀夫首相の場合は、自ら非を認め、過去に遡って5億円超の贈与税を納めている。
 ところが小沢氏の場合はどうだろう。4億円もの巨額の政治資金を意図的に虚偽記載したことは、逮捕された小沢氏の元秘書が認めているところだ。これを税務申告の記載漏れに例えるならば、立派な脱税事件である。
 何より政治資金規制法は、政治資金の透明性を担保するためにある。その法の趣旨を逸脱した政治資金報告書のねつ造は、百歩譲ってたとえ、4億円の原資にやましいところがなく、元秘書が勝手に処理したことであったとしても、小沢氏の政治責任、使用者責任は免れない。政権与党の幹事長であればなおさらだ。そろそろ出処進退を自ら決する時である。


足利冤罪事件持ち出し潔白を主張する小沢一郎の悪あがき
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2010年2月4日号
 
 民主党の小沢一郎幹事長が1日の定例会見で、前日に東京地検特捜部の再聴取を受けたことを明らかにした上、自らの進退について「私自身が刑事責任に問われるということになれば、責任は重い」と述べた。
 今さら何を言っているのか。立件されれば、政権与党の幹事長職に留まっていられるわけがなかろう。当たり前である。
 本来ならば、元秘書が逮捕された時点で進退への言及があってしかるべきところだ。それにもかかわらず、小沢氏は4日に元秘書の石川知裕容疑者が起訴されても、知らんぷりを決め込むつもりのようだ。
小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる事件で側近3人が逮捕されていながら、なおもその職にしがみつく姿は見苦しいと言うより他ない。
同志の鳩山由紀夫首相も「今日までの小沢幹事長の活動を考えれば当然(夏の参院選)仕切ってもらいたいと思っている」(2日の記者会見)と相変わらず小沢続投を容認する姿勢を崩していない。これもまた見苦しい姿だ。
そしてもう一つ、見苦しさでいえば、このところの悪のりしたマスコミの検察批判も困ったものだ。
とりわけ不愉快なのは足利事件で冤罪となった菅谷利和受刑者の例を持ち出し、あたかも全ての犯罪捜査が不当であるかのような主張だ。しかも、過去に東京地検特捜部の世話になった、あるいは係争中の政治家や役人たちが、この期に乗じて一斉に検察批判を繰り広げ、自らの潔白を主張する姿は異様である。
もちろん、人権は国籍、性別、社会的立場の隔てなく護られるべきだが、東京地検特捜部が捜査対象にしているのは善意の一般国民には伺い知ることができない巨悪であることを忘れてもらっては困る。
ロッキード事件やリクルート事件の摘発が、政治権力の暴走に歯止めをかけ、民主主義の健全な発展にはたした役割を思えば、マスコミの安直な検察批判が、この世に蔓延る巨悪のお先棒担ぎにならないことを願うばかりだ。


小沢一郎不起訴でも残る脱税疑惑
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2010年2月6日号
 
 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる一連の捜査は、元秘書の石川知裕衆院議員ら側近3人の起訴でひとまず決着をみた。小沢氏の立件は見送られることになったが、国会議員の立場は重い。一部には検察首脳部に時の権力者を摘発することへの躊躇があったのではないかとの見方もあるが、むしろ、東京地検特捜部の捜査が厳粛に行われた結果と考えるべきだろう。
 小沢氏周辺では「良かった。安心した」との安堵の声が漏れ伝わってくるが、鳩山由紀夫首相の言葉を借りれば、潔白を「信じていた」のであれば不起訴は当然だろうから、安堵というものおかしな話だ。
何より、小沢氏に向けられた「政治とカネ」の疑惑、そして自身の資金管理団体が政治資金規正法違反で摘発され、側近3人が逮捕、起訴されたことの政治的、道義的責任は依然として残る。
国会では自民党の石破茂政調会長が4日の記者会見で「検察として黒と断じられないということであっても、白ということになっていない以上、疑念、疑惑は残っている」と述べ、徹底追及の構えだ。多くの国民もきっと同じ思いだろう。
とりわけ、小沢氏が土地購入の原資と主張する個人の預貯金については、鳩山首相同様、所得税法違反の疑いが濃厚である。今後、両氏共に税務調査の対象となる。国税庁が悪質な所得隠しと判断すれば、刑事告発される。さらに、小沢氏の不起訴については、検察審査会で覆される可能性もあり、はたして鳩山内閣が国民世論を背景にした野党の追及にどこまで堪えきれるかどうか見物だ。
仮に野党に押し切られる形で小沢幹事長が辞任に追い込まれるようなことになれば、小沢氏だけでなく、民主党そのものが致命傷を負う。
最悪の事態を回避するには、小沢氏自らが速やかに進退を決することはもちろん、さらに小沢氏個人名義のワケの分からない土地建物を民主党に寄付して、身辺を綺麗にすることである。問われているのは小沢氏の説明責任だけではない。国民が納得するケジメを求めたい。


秘書一人に罪を負わせて開き直る小沢一郎の性向 
東京スポーツ「永田町ワイドショー」2010年2月13日号
 
 政治資金規正法違反容疑で逮捕、起訴され民主党現職議員の石川知裕被告が10日、離党を決めた。前日までは「離党も辞職もしない」との見方が支配的だったが、国民世論の批判に抗しきれないと、ようやく観念したものと思われる。ともあれ、これで政治家として一定のケジメはついた。残るは説明責任である。議員の職に留まりたいのなら、自ら進んで衆院政治倫理審査会(政倫審)に足を運び、すべてを正直に告白して国民有権者に許しを乞うことだ。
 さて、そうなると小沢氏も知らんぷりはできまい。石川被告の政倫審出席を求める連立相手の社民党は、小沢氏への対応について「不起訴だったので、石川氏への対応とは線を引くべきだ。願わくば国民に対し、正面から向き合って説明する必要があるのではないか」(重野安正幹事長)と言うが、はたしてそうか。
 巨額の記載漏れが発覚しながら、子分一人に責任を負わせて権力にしがみつく小沢氏とこれを公然と擁護する政権与党が犯した罪は、石川被告一人が背負えるものではない。
 小沢氏は鳩山首相との会談で幹事長続投のお墨付きを得た8日の記者会見で幹事長辞任を求める世論調査の結果について「ここ一ヶ月以上、小沢一郎はけしからん人物だという報道が続いた後の世論調査だ。その直後でどうだといわれても困る。小沢一郎は不正な献金は受け取っていなかった。潔白だったという報道を続けていただいて、その後に世論調査するならコメントします」と述べている。
 小沢疑惑はあたかもマスコミ報道のねつ造だといわんばかりだ。己だけが絶対正義で都合の悪いことは他人のせいにする。公の精神に背を向ける戦中派(小沢氏は1942年生)にありがちな性向である。
「小沢一郎政治塾」が今年で10年目を迎えるという。各界の指導者育成を目的にしているそうだが、この国は大丈夫か。

 

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