2013年1月19日土曜日

無駄削減の「事業仕分け」は参院決算委員会の権限強化で

 安倍内閣が15日に閣議決定した12年度補正予算案は総額13・1兆円。このうち、4・7兆円は道路整備や学校耐震化などの公共事業費だ。財源は約7兆8千億円を国債の追加発行で賄う。借金は膨らむばかりだが、国民世論は意外なほど静かだ。
 やはり、先々のことより当面の暮らし向きが大事とみえる。それはそれで了としたいが、景気回復に失敗すれば安倍政権諸共、借金地獄に真っ逆さま。後になって政治を責めても、救世主は現れないことを覚悟しておいた方がいい。
 それはさておき、同じ日、麻生太郎副総理兼財務相は全国知事会など地方6団体代表との会合で13年度の地方公務員給与を7・8%削減するよう求めた。
席上、難色を示す地方側に対し麻生氏は「国より地方は公務員の給与が高い。国の財政再建に給与削減は避けて通れない。公共事業で自治体負担分を1兆4千億円、国が肩代わりする臨時交付金も補正予算で手当したんだからいいじゃないか」と実施を強く迫った。正論である。
自民党は先の衆院選で国と地方を合わせた公務員総人件費の2兆円削減を公約に掲げている。このうち、国家公務員についてはすでに12年4月から震災復興の財源に充てるため同レベルの削減を行っており、両方を合わせれば約1・2兆円の削減額になる。国民に負担増を強いる以上、国会議員の歳費削減と併せ、避けては通れないところだ。
 加えて安倍政権にはさらなる行政組織の効率化と縦割り予算の無駄削減に取り組んでもらいたい。
 民主党政権下、国民の目の前で繰り広げられた「事業仕分け」は、議論の内容や方法には多々問題はあったが、その試みは生かすべきだ。
 たとえば、「事業仕分け」の舞台を参院の決算委員会に移し、実行予算のチャック機能を強化する手はある。
現状、衆院には予算案採決の優越権が与えられているが、実際に執行された予算に無駄がないか、正しく使われたかどうかを与野党の枠を越えて参院が精査し、問題があれば次年度から強制的に削除、削減できるようにすれば衆参の役割がはっきりするし、かなりの効果が期待できる。そして何より、国民の政治不信を払拭することになるはずだ。

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