2013年3月9日土曜日

選挙制度の抜本改革で一票の格差是正と違憲判決の悪循環を絶て

自民、公明、民主の3党は5日、安倍政権発足後初めて衆院選挙制度改革の実務者協議を行った。席上、自民党の細田博之選挙制度改革問題統括本部長は「人数の多い政党と多くない政党の双方が満足する案をできるだけ早く作って各党に諮りたい」と述べ、叩き台となる自民党案を示した。
衆院選挙制度改革については昨年11月の党首討論で野田佳彦首相が解散確約の条件にあげ、小選挙区「0増5減」の区割り法案が成立。残る定数削減法案の今国会提出で3党は合意済みだ。
当時、民主党は比例定数(180)の「40削減」と一部連用制の導入を主張していた。これに対して自民党案は比例定数を30削減した上、150議席のうち30議席以上を第2党以下に優先配分、併せて地域ブロックを11から8に再編することで死票が減らせるとしている。より大胆な改革案だが、同席した民主党の岡田克也政治改革推進本部長は優先配分が有権者の意志を正確に反映しないとの理由から「憲法違反の疑いがある。国民にわかりやすい制度にするべきだ」と異を唱えた。
しかしながら、比例に一部連用制を導入する民主党案も小政党に配慮したもので、分かりにくい。憲法違反を言えた筋合いではなかろう。
折しも翌6日、東京高裁は一票の格差をめぐる訴訟(衆院東京一区)で難波孝一裁判長は「違憲状態とした最高裁判決で強い警鐘が鳴らされたのに、区割りが是正されず選挙に至ったのは看破できない」と述べ、昨年末の衆院選では初となる違憲判決を下した。今後も全国各地で違憲判決が繰り返されるだろう。
現行の区割り制度が国勢調査を後追いし、有権者数に応じて議席数を割り振っているため、あるいは次期衆院選から施行となる「0増5減」の区割りですら憲法違反を問われかねない。選挙の度に違憲判決と定数是正を繰り返す悪循環だ。
岡田氏が憲法違反を持ち出すのであれば、3党がせっかく同じテーブルについているのだから、将来に憂いなきよう区割り制度も含めた選挙制度の抜本改革に道筋をつけることだ。

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