2013年7月13日土曜日

麻生財務相が語る消費税率引き上げ基準のご都合主義とアベノミクスへの不安

 麻生太郎副総理兼財務・金融相は9日の記者会見で来年4月に消費税率を8パーセントに引き上げるかどうかの判断基準について「税収が伸びてくるというのが間違いなく大きな指標になる」との考えを示した。
その上で麻生氏は「基本的に景気が良くないと税収は増えてこない」として、現時点では「間違いなく景気が良くなってきたなという判断は東京ではあるが、大丈夫かねと思っている人も多い。まだ、決定的に決めるまでには至っていない」と述べている。
しかしながら、そんな悠長なことを言っていて良いのだろうか。まずもって消費税率の引き上げは、21日投開票の参院選で有権者の判断材料となる。
ちなみに景気への影響を懸念する「みんな」は凍結を、「共産」、「生活」、「社民」など野党の多くが格差拡大や低所得者層の生活を圧迫するとして中止を求めている。政権与党があいまいな態度を続けるならば、争点隠しとの批判を浴びかねない。
折しも麻生氏が大きな指標と位置づける税収について財務省が3日に発表した2012年度一般会計決算概要では補正後の見積を1兆3244億円も上回っている。さらに経済成長を最優先に掲げる安倍自民党なら来年度もきっと大幅な税収増を見込んでいるはず。
だったら、来年4月の引き上げを躊躇する理由はなかろう。
それにもう一つ、麻生氏の判断を待つまでもなく財務省は8月、消費税率引き上げを前提に来年度予算の概算要求基準をまとめ、年末の閣議決定に向けて予算編成作業に入るわけだから今さら隠し立てすることはなかろう。
もっとも、景気が回復し税収増が見込まれるのになぜ、消費税率を上げる必要があるのか。あるいは、景気が回復しても個人所得が増えければ、国民生活を圧迫することになりかねない。
全国消費者物価指数は今年2月以降、4か月連続で上昇している。公正取引委員会の調査では消費税率引き上げを見据え、大手スーパーの納入業者に対する買いたたきも始まっているそうだ。
消費税率引き上げの是非はアベノミクスの成否と表裏の関係にあるだけに、与野党のいっそうの論戦を期待したい。

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