2013年7月6日土曜日

安倍自民党が圧勝しても解消されない消費税引き上げ時期をめぐるもう一つのねじれ

「勝って再びねじれを解消し、政治の安定を手に入れ、(景気回復の)実感を皆様の手に届けたい」
 3日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論で安倍晋三首相はこう述べた。ねじれ解消で今後の政権運営に有権者の白紙委任を得たいとの考えだ。
だが、いくら株高で企業業績が回復基調にあるからとはいえ、盲判を捺すわけにはいかない。
例えば争点の一つとなる来年4月の消費税率の引き上げはどうか。党首討論で安倍首相は「上げて税収が減ったら元も子もなくなる。足下の状況を見ながら適切に判断したい」と柔軟姿勢を示している。
もとより経済は生き物だ。過去には97年の橋本政権下、消費税率を現行の5%に引き上げたことが景気のさらなる悪化を招き、税収減をもたらした苦い経験がある。
このため昨年成立した改正消費税法の付則は「経済状況の好転」を税率引き上げの条件にしている。そうであれば、来年4月の8%引き上げを見送り、15年10月に一発で10%に引き上げる選択肢もあろう。
ただ、景気回復の「実感を届けたい」と熱弁する安倍首相である。一方で「税収が減る」ような事態とは、安倍首相がこれまで進めてきた経済成長戦略の行き詰まりを意味することにもなる。即ち、安倍首相の政治責任が問われる事態でもあるのだが、どうやら本人にその自覚はないらしい。
一方、自民、公明両党と共に消費税率の引き上げを決めた民主党は海江田万里代表が党首討論で「首相の経済政策は、国民の期待感を膨らませることには成功したが、副作用がある。生活を破壊する恐れのある安倍政権の政策から国民の暮らしを守っていく」と述べている。
安倍政権の経済成長戦略の行き詰まりを指摘するのであれば、消費税率引き上げの先送りを主張しても良さそうなものだが、言及はなかった。それでどうやって「国民の暮らし」を守るのか。民主党が非自民、反アベノミクスの受け皿になれないのも肯けよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿