2013年9月2日月曜日

内閣改造の一部前倒しで見えてきた安倍首相と派閥ボスの裏取引

 安倍晋三首相が臨時国会前の内閣改造を見送る方針を固めたそうだ。28日、大手メディアは政府筋の話としてこれを一斉に報じているが、一方で9月任期切れとなる党役員人事に合わせて副大臣、政務官の人事を行うとも。
 秋の臨時国会をまたぎ、消費増税の判断や環太平洋連携協定(TPP)交渉、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈、追加の経済成長戦略など重要案件が山積する中では現体制の維持は当然の選択だ。もっとも、副大臣は天皇の認証官であり大臣に準じる扱いである。報道されたとおりであれば、安倍首相は臨時国会前に内閣改造の一部を前倒しするとの表現がより正確だ。
 お盆前、同じく政府筋の話として安倍首相が内閣改造を12月以降に先送りする意向を示していたとの報道があった。
また、先に本欄は「安倍首相が臨時国会前の内閣改造に踏み切るようなら、派閥政治の完全復活を意味することになる」と指摘した。
それからすれば、内閣改造の一部前倒しは派閥政治との妥協の産物と言えよう。
報道を受けて菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「ひと段落したある時期に首相が判断するだろう。首相の専権事項だ」と述べるに止めている。
だが、件の“政府筋”が菅氏であることくらいは容易に察しが付こう。いわば永田町の常識だ。
おそらく菅氏は安倍首相が派閥政治に屈したとの印象を持たれることを嫌い、番記者とのオレレコ懇談で「見送り」と報じるよう求めたのだろう。
いずれにせよ、安倍首相と派閥ボスたちとの政権運営をめぐる綱引きはまだ始まったばかりだ。
今後、安倍首相が党役員人事で最大派閥町村派会長の町村信孝元外相と第2派閥の額賀派会長の額賀福志郎元防衛相を党3役クラスで処遇し、副大臣、政務官の一部内閣改造人事が派閥均衡、順送りとなるようなら派閥政治の完全復活とみてまず間違いない。族議員を通じて公共事業や補助金が無駄に垂れ流されることになろう。

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