2013年9月13日金曜日

安倍首相が世界を欺いて手にした2020年東京五輪への期待と不安

 2020年の夏季五輪の東京開催が決まった。マドリッド有利と見られた土壇場の大逆転劇で主役を演じたのは安倍晋三首相だった。
 日本時間の8日、国際オリンピック委員会のプレゼンテーションで安倍首相は懸念されていた福島第一原発の放射能汚染水問題について「港湾内0・3平方キロメートルの中に完全にブロックしている。抜本解決に向けたプログラムを私が責任を実行する」と述べ、これをIOC委員の多くが信じたわけだ。
 もちろん安倍発言には何の根拠もない。完全にコントロールできているなら今になって国が前面に出る必要はなかろう。いわばウソも方便、世界を欺いての東京招致の決定であった。
 ただ、モノは考えようだ。被災地福島県の佐藤雄平知事はこの安倍発言を逆手にとり「国際公約になったのだから、約束を果たしていただきたい」と遅々として進まない汚染水処理で政府の尻を突いて見せた。
 また、安倍首相は記者会見で「原子力比率を引き下げる。今後、3年間程度の間に再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を加速させる。原発再稼働については世界で最も厳しい安全基準のもとで判断する」とも述べている。
安倍首相が期限を切って原発比率の引き下げに言及したことを評価したい。これも国際公約である。ウソから出た誠になることを願うばかりだ。
ともあれ東京開催の決定は多くの国民が望むところだろう。何より経済成長の起爆剤としての期待が大きいようだ。
さっそく週明け9日、日経平均株価は終値で前週比344円42銭高の1万4025円23銭、約1カ月ぶりの高値を付けている。
ただ、これも一方で東京のさらなる一極集中への懸念が指摘されているところだ。
 もう一つ、政治的には東京五輪の開催で長期政権が視野に入った安倍首相のタカ派的体質が気になる。とりわけ対中、韓両国との関係悪化は懸念材料だ。五輪のボイコットは考えられる最悪のシナリオである。
 もちろん、そうならないよう極東アジアの緊張緩和に主導的役割を担うことが五輪主催国の首相としての務めなのだが。 

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