2013年10月3日木曜日

「家計」を冷遇するアベノ増税と5兆円経済対策の筋悪

来年4月からの消費増税に伴う五兆円の経済対策で安倍晋三首相は東日本大震災の「復興特別法人税」を今年度限りで打ち切ることを決めた。
 政府は「企業がデフレマインドを脱却し、継続的な賃上げの第一歩を踏み出すためには、きっかけが重要」とその意義を強調する。景気の腰折れを懸念してのことらしい。
 それならば、家計が負担している復興特別所得、住民税も同時に廃止した方が、より効果的だと思うのだが、こちらは「復興事業の実施を困難にする」との理由で据え置かれた。だったらなぜ法人税だけを廃止にするのか、と言いたくなる。「企業優遇」との批判が聞こえてくるが、むしろ、「家計冷遇」と呼んだ方が分かりやすい。「筋悪」の政策である。
「どうしてもやりたいなら、一時、建設国債を増発し、復興特別会計に繰り入れてあげれば(被災地の)地元は安心する」
 税制に詳しい伊吹文明衆院議長は28日のテレビ番組でこう述べていた。
しかしながら、そもそも復興税は民主党政権時代、復興事業費を確保するため導入されたものだが、振り返れば被災地の復興は遅々として進まず、12年度だけでも3兆4270億円が未消化に終わっている。復興予算の流用も後を絶たない。それでいて復興法人税だけ廃止して、国債発行で国民にさらなる借金を強いるのは筋が違う。
将来にわたる被災地復興の青写真を焼き直し、必要な予算を積み上げた上で復興税の存廃も含めた税負担のあり方を差し示してもらわなければ、負担する国民の理解は得られまい。
「筋悪」の政策はまだある。安倍政権は成長戦略の柱の一つ、「国家戦略特区」で従業員の解雇要件や労働時間の規制を緩和する、いわゆる「解雇特区」の導入を検討している。
 これは企業が従業員との間で個別に解雇条件や給与、労働時間等の待遇を細かく取り決めて雇用契約を交わす欧米型の雇用形態だ。秋の臨時国会で関連法案が成立する見込みだが、労働者派遣法がそうであるように運用次第では「労働者冷遇」との批判を浴びよう。  
暮らしの先行きに不安ばかりが募る。秋の臨時国会は今月15日召集の予定である。

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