2013年10月15日火曜日

臨時国会で虚実見極めたい安倍政権の5兆円経済政策と放射能汚染水対策

 臨時国会が15日、召集された。安倍晋三首相は成長戦略実現国会と名付けた。消費税率引き上げに伴う景気の腰折れ対策となる5兆円の補正予算と産業競争力強化法案、国家戦略特区関連法案の成立を目指すが、それで事足りる国会ではない。
 政府与党が成立を目指す法案を並べれば、特定秘密保護法案や国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法案の2法案は、安倍自民党の憲法改悪、国権の強化、基本的人権の制約につながりかねない危険な法案だ。経済対策の甘い言葉に惑わされて唯々諾々と法案成立を許せば、後になって国民は「こんなはずじゃなかった」と後悔することになろう。
 懸案はまだある。安倍首相が「完全にコントロール下にある」とウソをついた放射能汚染水や焼却灰の処理については、政府の姿勢を質す必要がある。
 7日に行われた参院経済産業委員会の放射能漏れ問題に関する閉会中審査に参考人として呼ばれた東電の広瀬直己社長は、汚染水対策費として今後10年間に必要な1兆円の資金の調達する際、「電機料金が上がることがないようコストダウンに努めたい」と答弁していた。だが、このまま東電任せにしていては、原発事故は収束に向かうどころか、かえって事態は悪化させることになりかねない。
 このため自民党の原発事故被害者支援・事故収束委員会(額賀福志郎委員長)が国費投入を可能にするため現行、除染費用全額を東電に負担させるとした「除染特別措置法」の改正や廃炉、汚染水対策、賠償などへの国の関与を強化するため「福島復興加速化特措法」の成立を求めている。
 電力エネルギー政策について政府は発送電分離に向けた電力システム改革推進するため臨時国会に電気事業法改正案を提出する予定だが、むしろ最優先に取り組むべきは原発の再稼働問題も併せた震災復興、放射能汚染対策の練り直しではなかろうか。本欄が名付けるとすれば「放射能ダダ漏れ対策国会」としたいところだ。
何しろ臨時国会の会期は53日間しかない。安倍首相がこだわりを見せる日本版NSC法案や秘密保護法案については緊急性が乏しく、年明け通常国会に先送りするがよろしかろう。

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