2013年11月28日木曜日

中国の防空識別圏設定で試される鳴り物入りの日本版NSC

 今国会、安倍晋三首相が最優先課題と位置付ける国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法案が、野党第一党の民主党も賛成して27日の参院本会議で可決成立する。
 日本版NSCは外交・安全保障政策の司令塔として、首相の下に官房長官、外相、防衛相の「関係大臣会合」を常設し、事務局として内閣官房に「国家安全保障局(安保局)」を置く。初代局長には安倍首相の「飲み仲間」で元外務事務次官の谷内正太郎内閣官房参与(69)が起用。局内に「戦略」「情報」「同盟・友好国」のテーマ別3部門、「中国・北朝鮮」「その他の地域」の地域別2部門とこれらを束ねる「統括」部門を配置し、防衛、外務、警察から部門トップを迎え総勢60人規模でスタートする予定だ。
 折しも中国が尖閣諸島上空に防空識別圏を設定したことで日中関係に焦臭さ漂うこの時期、日本版NSCの力量がさっそく試されよう。
 いわば、本番前の予行演習といったところか。23日には首相官邸に日本版NSCの中核を担うことになる外務、防衛両省など関係省庁の局長級が集まり対応を協議。外務省の伊原純一アジア大洋州局長は同日、駐日公使に「我が国固有の領土である尖閣諸島の含むもので、全く受け入れることはできない」と電話で厳重抗議、防衛省はこの日、尖閣周辺の日本領空に接近した中国軍の情報収集機を自衛隊戦闘機が緊急発進して追尾している。
 25日には参院決算委員会で安倍首相が「尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき表示をしており、全く受け入れることはできない」と答弁、中国政府に撤回を要求した。
 ただ、そうはいってもいつもながらに打つ手は限られている。同日の参院国家安全保障特別委員会では小野寺五典防衛相は「今後も我が国周辺の海空行きに警戒監視活動の万全はもとより、国際法および自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施したい」と述べていたが、かといって撃ち落とすわけにもいかず。岸田文雄外相いたっては「関係国と協力し中国に自制を求める」といつもながらのセリフを繰り返すだけ。せいぜい、中国大使を外務省に呼びつけ、厳重抗議するのが精一杯だ。
きっと今後は日本版NSCが実行ある解決策を打ち出してくれるはず。看板の掛け替え、掛け声倒れに終わらぬよう、無い知恵を精一杯搾り出していただきたい。

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