2013年11月18日月曜日

金融機関が暴力団との関係を断ち切れない本当の理由

参院財政金融委員会は14日、みずほ銀行の問題融資発覚を受けて21日の審議に佐藤康博頭取ら関係者4人を参考人招致することを決めた。みずほ銀行の経営責任や金融庁の検査体制のあり方などが焦点となる。
 ただ、同行の問題融資をめぐっては先に衆院財務金融委員会で集中審議が行われている。参考人招致された藤田頭取は「社会を混乱に導いた要因であり、深く反省している。反社会的勢力の徹底的な排除に不退転の決意で取り組みたい。具体的成果を早急に挙げていくことが私の使命だ」と述べたものの、金融庁の検査に対して「隠蔽の意図などは認められない」として、意図的な検査逃れを否定した。
 また、金融庁が昨年12月から行った前回検査で問題融資の資料提出を受けていたにもかかわらず事態を把握できなかったことについて麻生太郎金融相は「批判は真摯に受け止めないといけない」としながらも、一方で「みずほ以外に反社会的制直との取引を放置した事例は確認されていない。(みずほ銀行の)組織としての統治能力が十分に機能していなかった」と述べ、問題融資はあくまでもみずほ銀行の経営体質との立場を強調した。
参院でもおそらくこれ以上の答弁は期待できないだろう。
 もっとも責任の所在がどこにあるにせよ金融機関と反社会的勢力との関係を断ち切るのは容易なことではない。
 金融界は警察の持つ暴力団情報を頼りにしているようだが、融資先の一つ一つの認定作業を警察情報に委ねるのは危険である。警察庁は暴対法施行以来、現場の捜査員が暴力団員と会食等、日常的に接触することを禁じたからだ。これでは動向目まぐるしい暴力団構成員や企業舎弟を把握できるわけがない。万が一にも間違った情報で融資がストップするようなことになれば、それこそ情報提供した警察の責任が問われよう。
 さらにいえば、縦割り行政の弊害もある。今回、問題融資発覚の発端となったみずほ系列のオリエントコーポレ-ション(オリコ)など銀行や生保などの提携ローンを扱っている信販会社の監督官庁は経済産業省だ。反社会的勢力を排除するには水際作戦が有効だが、同省に融資をチェックする体制はない。
 13日に行われた自民党の金融調査会と財務金融部会の合同会議で経産省はみずほ系列のオリコや提携ローンを取り扱っている信販会社18社に対して割賦販売法に基づく報告徴求命令を出していることを明らかにした上、問題融資の実態解明に向けた同省の取り組みをアピールしたが、所詮は事後処理でしかない。
また、来年4月をめどに信販会社が加盟する日本クレジット協会が反社会的勢力の情報を集めた新しいデータベースを稼働させる予定だが、これとて基になる情報は警察に頼らざるを得ないわけだ。
そうであれば、まずは銀行と信販会社のチャック体制を統合し、併せて警察の情報収集力向上をはかることが先決だ。不祥事が発覚した時だけ論っても根本的な解決にはなるまい。

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