2013年12月13日金曜日

国民が心配なのは内閣支持率の低下ではなく景気の減速

臨時国会が2日の会期延長を経て8日、閉会した。
「朝起きたら静かで、何か嵐が過ぎ去ったようだ」
特定秘密法案を強行採決した翌日、安倍首相はこう漏らしたそうだ。
もとより法案そのものについては、その強引な国会運営と併せて厳しく批判されてしかるべきだが、朝日新聞社が直後に行った緊急世論調査で内閣支持率は46パーセント。前回調査からわずか3パーセント減に止まった。
だからだろう、感想を問われた菅義偉官房長官は9日の記者会見で「今回は多分下がるだろうと予測していた。低いより高い方がいいわけだから、国民に説明すべきことは説明していきたい」と余裕の表情を浮かべている。
国民世論の安倍内閣を見つめる眼差しには、今後の成り行きを見届けたいとの思いも覗く数字だろうか。きっと菅義偉官房長官もそう読み取ったに違いない。
もとより条文を読めば、政府として国家、国民の安全保障に関わる軍事、治安情報の漏洩、流出には何らかの歯止めが必要なことは理解できる。この法律の眼目はスパイの防止、摘発にあるわけだ。
だが、あれもこれもと欲張り、投げ縄広げ過ぎてはかえって使い勝手が悪い。例えるならばアメフトとラクビーを同じルールで縛り、論じるようなものか。誤審乱発とならないよう、まずは公正中立な審判の育成が急務であろう。
安倍首相は「情報保全諮問会議」、「保全監視委員会」、「文書管理官」の三つの安全装置を設置することで国民の知る権利と人権侵害に配慮する姿勢を示している。これまでの議論を無にすることなく、国民の不安払拭に務めていただきたい。
それにしても振り返れば臨時国会、残念なのは秘密保護法案ばかりが注目されてしまい、安倍政権が成長戦略の柱と位置付ける産業競争力強化法や国家戦略特区法案などの重要法案がさしたる議論もないまま素通りしてしまったことだ。
内閣府が9日に発表した7~9月期の実質GDP(国内総生産)は、消費税引き上げを決めた4~6月期比0・3パーセントに止まっている。年率換算では先月14日に発表した速報値の1・9パーセントから1・1パーセントに縮小しており、景気の減速はより明確になった。
年明け通常国会は1月24日に開会予定。嵐はまたすぐにやって来る。
 
 

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