2013年12月14日土曜日

サラリーマンに苛酷な安倍政権の14年度税制改正大綱

 自民、公明両党は10日、与党税制協議会で消費税増税に伴う低所得者対策として生活必需品等の軽減税率を導入することで合意した。ただし、焦点となっていた実施時期については公明党が強く主張してきた「税率10パーセント引き上げと同時に」との文言は週内にまとめる14年度税制改正大綱には盛り込まない。
 当然だろう。税制は単純で分かりやすい方がいい。一政党の思惑に振り回されて特例措置を乱発していたら税制は歪になるばかりで、不公平感を助長することになる。
公明党が主張をそっくりそのまま受け入れれば、食料品(酒、外食を除く)や新聞、書籍、雑誌などが軽減税率の対象となり合わせて1兆円超の税収減が見込まれる。
だったらその分、消費税率を上げる必要はないわけで、低所得者層にはこれまでどおり所得、住民税等の各種控除や生活保護、育児、教育等の各種手当ての支給で間に合うはずで、わざわざ消費税を弄る必要はない。
やむを得ず特例措置を認めるにしても消費税が8パーセントに引き上げられる来年4月以降の景気動向を見極めてからでも遅くなかろう。
自民党もしかり。同協議会では来年4月から自動車取得税(地方税)を2パーセント(現行5パーセント)引き下げることでも合意している。こちらは自民党の意向で消費税を10パーセントに引き上げ時の全廃がすでに決まっている。日本経済を牽引する自動車産業に配慮した特例措置だが、その一方で地方では庶民の足として欠かせない軽自動車については15年4月以降、現行7500円の最大1・5倍の増税を検討しているというのだから、低所得者層や田舎暮らしの住民から移動手段を取り上げるに等しい。
自動車取得税の軽減税率導入については日本自動車工業会会長の豊田章男トヨタ自動車社長が政府・自民党に強力に求めてきたもの。これに対して安倍晋三首相が豊田氏に従業員の給料アップを求めているのは周知の通りだ。つまり、自動車取得税の軽減税率導入はその見返りというわけだ。
いったい何のために消費税を引き上げたのか。支離滅裂な与党の税制論議である。

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