2014年2月11日火曜日

労働統計にみる賃金給料の目減りで広がるアベノミクスへの不信と不安

しらけムードの東京都知事選だった。最終盤、脱原発派の細川護煕氏と宇都宮健司氏の熾烈な2位争いが選挙戦の最大の関心事になっていたことからもそのことは伺えよう。
この間、しばらく遠退いていた国会は、これもあっという間に13年度補正予算が成立、週明け10日、衆院予算員会で来年度予算案の実質審議が始まる。
 ちなみに補正予算の歳出総額5兆4654億円には、4月からの消費税引き上げで懸念される景気の落ち込みを食い止めるため公共事業がずらりと並ぶ。
「消費税引き上げに際し、景気を下ブレさせることなく、経済を成長軌道に早期に乗せることが重要だ。迅速、着実に実行に移して欲しい」
 安倍晋三首相は7日の閣議でこう言い残し、ソチ冬季五輪の開会式出席のため羽田を発った。
 今国会を安倍首相が「好循環実現国会」と名付けたのは周知のとおりだ。4月の消費税引き上げは、そのために乗り越えなくてはならない最大のハードルである。
 もっとも、たとえ補正予算で景気の下ブレを一時的に食い止めることができたとして、労働者の賃金、給与が上向かなければ、アベノミクスへの国民の期待は失望に変わり、政権基盤を大きく揺るがすことになる。
 折しも厚生労働省が5日に発表した毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業者を対象)によると、基本給に残業代、賞与を加えた現金給与総額は一人当たり月平均31万4150円で2年連続続いていた下落にストップがかかっている。とはいえ、これに物価の変動を加味した実質賃金指数を見れば、前年比0・5%減で、2年連続で下落している。特に昨年7月以降、マイナス幅は拡大している。
 つまり、アベノミクスが意図的につり上げてしまった物価に賃金給与の伸びが追いついていないのだ。このままでは経済規模が拡大したとしても、生活者には景気回復の実感が伴わない。
 安倍首相は経済界に対して繰り返し賃上げ要請を行っている。首尾よく、賃金給料が上がればアベノミクスの手柄と言えるが万一、不調に終わった場合にはその責任を経済界に押し付けるための口先介入でもある。
結果が出るのは5月下旬、政府は主要企業数百社の賃上げ実施状況を公表する予定だ。

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