2014年5月22日木曜日

日本の安全を脅かす安倍首相の軍事拡張主義


 自民、公明両党は20日、集団的自衛権の行使容認に向け「安全保障法制の整備に関する与党協議会」(座長・高村正彦自民党副総裁)が初会合を開いた。

 今後、同協議会は公明党の意向に沿う形で議論の対象となる①武力行使に至らない「グレーゾーン」事態②国連平和維持活動(PKO)などの国際協力③日米同盟強化の3分野について順次、自衛隊の武力行使の是非を詰めていく。

 安倍晋三首相は早ければ今国会、3分野を一括して閣議決定を目指すが、公明党はこれを否定しており、与党合意の落としどころは不透明だ。

 とりわけ③については、集団的自衛権の行使をめぐるこれまでの政府見解を180度転換することになるだけにハードルは高い。

 折しも安倍首相は30日からシンガポールで始まるアジア安全保障会議で東南アジア諸国連合(ASEAN)に対する中国の海洋進出、軍事的脅威に対して日本が米国と共に支援していく姿勢を打ち出す。それこそがまさに安倍首相が描く日米同盟強化の行き着く先であり、集団的自衛権の行使が許されるならば、日米同盟の名の下、自衛隊は世界中どこであっても武力行使が可能となる。

 戦後日本は朝鮮、ベトナムの両戦争で米軍の兵站基地としての役割を担ったが、現行憲法をどう捻じ曲げて解釈しても自衛隊が直接、戦火を交えるのは、さすがにやり過ぎだろう。

 これに関しては20日の参院外交防衛委員会で政府の憲法解釈を担う内閣法制局の横畠祐介長官が安倍首相の目指す憲法解釈変更による集団的自衛権の行使について「自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止するもの」として「憲法上許されない」と断じている。本欄が度々指摘してきたところだ。

 与党協議と並行して国会では衆院で28日、参院が29日にそれぞれ集団的自衛権をテーマに集中審議が予定されている。

 安倍首相の野放図な日米同盟強化と集団的自衛権の行使容認は、むしろ日本の安全保障を脅かす。国民の理解は得られまい。

0 件のコメント:

コメントを投稿