2014年5月30日金曜日

散漫な安倍首相の集団的自衛権行使論


 国会は28日、衆院予算員会で安全保障政策をめぐる集中審議が行われた。安倍晋三首相が15日に集団的自衛権の行使容認の検討開始を正式表明して以来、初の国会論戦となった。

 この中で安倍首相は「わが国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方について研究を指示した」と述べ、記者会見での主張を繰り返した。

 安倍首相が検討を指示した具体的事例について、例えば与党内調整で焦点となっている邦人救助の米輸送船を護衛について集団的自衛権の行使にあたるとの考えを変えていない。一方の公明党は現行憲法が認める個別的自衛権や警察権の拡大で対応可能としている。それならば、憲法解釈の変更を検討するまでもないことだ。

 また、国連決議に基づく自衛隊の海外活動について安倍首相はシーレンの機雷掃海や船舶護衛などを具体的事例としてあげ「積極的平和主義の立場から、国際の平和・安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに自衛隊が充分に貢献できる法整備をすることが必要だ」と述べ、多国籍軍の一体化した自衛隊の武力行使を否定している。

これなどは従来どおり、個別に特措法で対応すれば済むことで、そもそも集団的自衛権の有無とは別物だ。同じテーブルで議論すれば、無用の混乱を招く。

 29日、海上自衛隊の輸送艦「くにさき」が米国、オーストラリア軍兵士140人を乗せ米海軍横須賀基地を出港、ベトナムに向かった。

 防衛省は「軍事演習ではなく、あくまで人道支援活動を想定した訓練だ」と説明するが、

南シナ海の領有権争う中国との緊張高まる中では、事実上、軍事演習にも等しい航海である。あるいは中越の偶発的な衝突に巻き込まれる可能性も否定できない。

だからこそ自衛隊がやれること、やれないことを地理的範囲も含め予め整理し、必要な法整備を急ぐのではないのか。論点はできるだけ絞り込んだ方がいい。

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