2014年11月15日土曜日

安倍首相の「とりあえずやってみたかっただけ」解散は憲政の邪道、保守の面汚し


「引上げ(延期)と解散がどうして論理的につながるのかまったく理解できない。まったく関係ない話だ」

自民党税制調査会顧問の町村信孝元官房長官は12日、記者団を前にこう述べ早期解散の流れを牽制した。

この前日には野田毅税制調査会長が同様、都内の会合で「まともな考えでいけば、常識的に解散はない。人間は間違うことがあるが、(首相は)間違った判断をされないと信じている」と述べている。

 野田氏はまた「大義名分のない選挙はよくない。国民の声を恐れることが大事だ。先延ばししたら金利が上がることは間違いない」と述べ、町村氏も「大きな政策変更をしなければならないような経済状態ではない。(引上げ延期で)財政が一段と悪化する」との認識を示した。 

 周知のとおり、お二方は野田政権下、谷垣総裁を支え消費税率引き上げの3党合意を主導した財政再建派の重鎮であり、保守政治を体現する数少ない政治家である。

 歴代首相が政権を賭して消費税の導入、税率引き上げに血肉を注いできたことに心致すならば、安倍晋三首相にも消費税率再引き上げの先送りが、後にどんな悲劇を生むかを理解できるはずだ。

 アベノミクスの経済成長戦略に一縷の望みを託し、暫し耐え忍ぶことを覚悟した国民である。一度緩んでしまったタガを締め直すのは容易ではない。

さらには経済成長戦略の先行きも不安である。年明け通常国会は来年度予算の編成、法人税減税や経済特区導入などの規制緩和を具現化するまさにアベノミクスの成否を握る正念場ではないのか。現下の経済状況に怯んでいる場合ではなかろう。

解散風は目先、選挙の有利不利、政権内部の主導権争いも絡んでいるようだが、大義なき解散総選挙は憲政の邪道である。

来年は戦後70年、自民党結党60年の節目となる。安倍首相には町村、野田両氏の言葉を真摯に受け止め、保守の王道を歩んで頂きたい。

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