2014年12月13日土曜日

言論統制を正当化する安倍流「俺の民主主義」


 国家機密を漏らした公務員や民間人を取り締まる特定秘密保護法案が10日、施行された。

「国と国民の安全を間持つための機微な情報を外国とやり取りし、政府内で共有し保護するための基盤が整う」

 世耕弘成官房副長官は同日の記者会見でこう述べ、法施行の意義を強調した。

 その趣旨は良としても、周知のとおり同法案は「防衛」「外交」「スパイ活動防止」「テロ防止」の4分野について行政機関のトップが「特定秘密」を指定し、情報漏えいに厳罰を処す。かねてより行政の恣意的判断で秘密指定の範囲や期間が拡大され国民の知る権利を制約するおそれが指摘されてきたところだ。

これに対して政府は10月に策定した運用基準に「憲法が規定する基本的人権を不当に侵害しない」、「国民の知る権利は、憲法21条が保障する表現の自由や憲法がよって立つ基盤の民主主義社会の在り方と結び付いたものとして、十分尊重されるべきものである」との文言を留意事項として付け足し、国民の理解を求めている。

世耕官房長副長官もこの日の記者会見で

「政府として法律の適正な運用に努めていく。運用状況を停年に説明し、施行状況を公表することなどを通じ、国民の知る権利が損なわれることは絶対にないことを示していきたい」と述べている。

 しかしながらこの法案は昨年秋の臨時国会、大多数の国民が不安を訴える中で安倍晋三首相が数に任せて強行採決したことを忘れてもらっては困る。

 また先の通常国会、安倍首相は集団的自衛権の行使を可能にするため、現行憲法の解釈見直しを閣議決定。さらには直近、放送法が謳う公正中立報道を逆手にとり、テレビ各局に対して安倍政権に批判的な報道を控えるよう圧力文書を送りつけてもいる。

 つまり法律の文言は時の政権の恣意的な運用でどうにでもなることを自ら証明してみせたわけだ。特定秘密保護法案も例外ではない。

 むしろマスコミ報道は、こうした国家権力による法律の恣意的運用を厳しくチェックし、国民世論に警鐘を鳴らすことを使命とする。その当然の国民の知る権利をわざわざ運用基準に書き込まなくてはならないところにこの法案の本当に怖いところだ。

いよいよ投票日は14日。その意味では国民の知る権利、表現の自由に対する安倍政権の姿勢が問われる選挙でもあろうか。

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