2014年12月20日土曜日

もってあと1年のアベノミクス幻想


 週明け24日、第3次安倍内閣が発足する。政府はすでに全閣僚の留任を前提に年末の税制大綱の改正に始まり、年明け通常国会冒頭で処理する3兆円規模の補正予算案とこれに続く本予算案の編成作業を急ぐ。

 国民有権者にとっては安倍首相が15年10月の消費税率10%引き上げを先送りしたことによる税収不足の穴埋め財源と財政再建の先行き、子育て介護などの社会福祉サービスへの影響が気になるところであろうか。

 政府はすでに来年度予算案の編成にあたり、借金返済のための新規国債発行額を今年度より1・3兆円抑え、40兆円程度にする方針を固めており、消費税率10%引き上げ先送りによる税収減1・5兆円と合わせ3兆円程度をアベノミクスによる法人税や所得税の増収分で穴埋めできると算盤をはじく。

 アベノミスクの経済成長がそれほど順調ならば、そもそも消費税率を引き上げる必要はないとの理屈も成り立つ。また一方で年金受給者、低所得者対策の先送りや介護報酬引き下げなど社会保障費を抑制する方針だ。そうであれば、増えた3兆円もの税収はいったい何に使われるのか、納得のいく説明を求めたところだ。

 さらに安倍晋三首相の言葉を借りれば、企業業績の好調が見込まれるならば当然国民の暮らしも向上するはず。そうならなければ理屈に合わない。

 しかしながら肝心要の賃金給与の引き上げについては昨年同様、16日に行われた「政労使会議」で安倍首相は経済界に対して「賃上げの流れを来年、再来年と続け、全国にアベノミクスの効果を浸透させたい」と述べたものの、これまでのように物価上昇を賃上げが後追いするようなアベノミクスであれば、国民生活はお先真っ暗なままだ。

「企業に内部留保がたまっている。賃金か配当か設備投資に回すのが本来の姿だ」

 同じ日、麻生財務相は閣議後の記者会見でこう述べてもいるが、企業からすれば大きなお世話ということにもなろう。

 そもそも生活苦に喘いでいるのは内部留保をたんまりため込んでいる大企業の社員ではなく、中小零細企業の労働者である。

 衆院選の圧勝で安倍首相は4年の任期を与えられたと勘違いしているようだが、待ってあと1年、結果がでなければ国民から三下り半を突き付けられることになろう。覚悟してかかることだ。

 

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