2015年2月12日木曜日

安倍首相が無関心の遺体引き渡しを求める国会決議を


「日本政府の3度の警告にも関わらず支配地域に入った。どんなに優しくて使命感が高かったとしても、真の勇気でなく蛮勇というべきものだった」

 自民党の高村正彦副総裁は「イスラム国」に殺された後藤健二さん(47)についてこう述べた。死者に鞭打つようで心苦しいが、多くの国民もきっと同じ思いを抱いたのではなかろうか。そのことは後藤さんも自覚していたはず。だからこそ「自己責任」との言葉を遺して旅立ったのであろう。

目的、動機はどうであれ、安倍首相の積極平和外交と同様、手段を間違えれば悲劇は一人後藤さんの「自己責任」で済む話ではない。

とはいえ、2人の救出に失敗した政府が近藤さんを非難するもの筋が違う。

 安倍晋三首相は4日に行われた衆院予算員会で

「日本人の命(を守る責務は)、すべからく国の最高責任者である私にある。その責任を引き受けるのは当然だ」と述べていたが、一方で前日の閣議では事件に関する一連の政府対応について「あらゆる手段を講じてきている。対応は適切であったと考える」との答弁書を決定した。

民主党の鈴木たか子衆議の質問主意書に答えたものだ。しかし、どうだろう。「人命優先」と言いながら「イスラム国」との直接交渉の道を自ら閉ざした安倍首相の判断については賛否議論が分かれるところだ。

政府はまた、この日行われた「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」の会合で国際テロ組織の動向に関する情報収集・分析やテロリストの入国を阻止する水際対策を徹底強化するなどを申し合わせた。

それはそれで邦人保護には万全を期してもらいたいが、何より政府として殺害された邦人2人の遺体引き渡し交渉に最善を尽くしてもらいたい。

併せて国会は5日、邦人人質事件を受けて衆院本会議で「イスラム国」に対する非難決議を採択する。与野党の立場を越え、「イスラム国」に対して遺体の引き渡しを求めることが、選良としての振る舞いであろう。

 

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