2015年4月2日木曜日

訪米に舞い上がる安倍首相と対中韓関係


 国会は参院予算員会で来年度予算案の審議が続いている。ただ、どんな欠陥予算案であっても、4月11日には自然成立する運びだ。だからだろう、安倍首相の心はすでに国会にあらず。4月下旬には訪米してオバマ大統領と会談する。また、米議会でも演説するそうだ。先に自民、公明両党で合意をみた安保法制はオバマ大統領への手土産である。

日本の自衛隊が世界中に展開する米軍の肩代わりをするために憲法解釈まで変えたのだから、安保外交で失点続きのオバマ大統領も大喜びだ。米議会での演説はそのご褒美であろう。何しろ日本の歴代首相を見渡しても米議会で演説したのは祖父の岸信介、吉田茂に続き3人目となる。こんな名誉なことはない、と安倍首相は舞い上がっているはず。

しかしながら、今年は戦後70年の節目の年である。安倍首相は戦後レジュームからの脱却を訴え、米国が主導した東京裁判や植民地支配を謝罪した村山談話について否定的な発言を繰り返してきた。

米議会から「偏狭なナショナリスト」との称号も頂いている安倍首相からはたしてどんな発言が飛び出すものか。日本だけでなく、世界中が注目する安倍首相の訪米である。

日本政府としてはせめて訪米の前、オバマ政権が懸念する中韓両国とは関係改善に向けて努力している姿だけは見せておきたい。

だからか。21日には3年ぶりに日中韓外相会談を開催、「歴史を直視し、未来に向かう」との文言を盛り込んだ共同コミュニケを発表した。

戦後70年談話を未来志向にしたい安倍首相が、植民地支配への謝罪を盛り込んだ村山談話の踏襲を求める中韓両国に歩み寄った印象である。

加えて24日には自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長が北京に赴き中国共産党の王家瑞対外連絡部長と会談。21年を最後に途絶えていた「日中与党交流協議会」の再開に動いた。韓国に対しては22日、福田康夫元首相や森善朗元首相、日韓議連の河村建夫幹事長らが出席した「日韓・韓日賢人会議」が開催されている。日本側出席者の一人は70年談話について「(安倍首相は)村山談話を継承すると言っているので信じて欲しい」と述べ、韓国側の理解を求めている。

つまり、安倍首相の浅はかな歴史認識と言動で悪化してしまった対中韓外交の尻拭いをさせられているのだ。聞いて呆れる安倍首相の「積極平和外交」である。

 

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