2015年4月23日木曜日

安倍内閣の高支持率と地方自治との奇妙な関係


 統一地方選の後半戦は19日、全国89市長選が告示された。残念ながら戦わずして当選を決めた無投票当選者が27人。無投票率は30・3%で前回より13・3パーセントも上回る争点なき市長選となった。前半戦同様、地方自治の崩壊を裏付ける結果だ。

 とはいえ、他の市長選には見どころもある。一つだけあげるとすれば函館市長選であろうか。電源開発大間原発の建設差し止め訴訟を起こした現職の工藤寿樹氏(65)に元衆院議員秘書の広田知朗氏(54)が挑む。

 大間原発から海峡を挟み最短23キロにある函館市は福島原発事故後、国が原発事故の防災重点区域を半径8~10キロ圏から30キロ圏に拡大した際、避難計画策定の義務を負ったにも関わらず、原発立地の同意権がないのは「整合性に欠き、理解し難い」として工藤氏は昨年4月に提訴。これに対して広田氏は「国と地方との争いは行政、政治の場で解決するべきだ」と異を唱えての出馬である。

 国の原発政策をめぐっては先に福井地裁が高浜原発の再稼働差し止めの仮処分を決定している。高浜原発から50~100キロは鳴れば福井、京都、大阪、兵庫の4府県の住民の申し出によるもの。これと同様、函館市の提訴は市民の命を政府、電力会社、立地自治体の三者だけに委ねることへの不安と不信の表れだ。国の原発政策と併せ、問われているのは地方自治のあり方でもあろう。

 毎日新聞が先週末に実施した世論調査では福井地裁の再稼働差し止めについて「評価する」が67パーセントに対して「評価しない」はわずか24パーセントに止まっている。

 さらに国と地方自治との関係で言えば、沖縄県民の圧倒的多数が反対する米軍普天間飛行場の辺野古移設問題も他人事では済まされない。同調査では強引に推し進める安倍政権の政治手法について「反対」が53パーセントで「賛成」の34パーセントを大きく上回った。さらに普天間移設とも絡む安全保障関連法案の今国会成立についても「反対」が54パーセントに対して「賛成」は34パーセントに止まっている。

それならば安倍内閣の支持率はこれに比例して下がって良さそうなものだが、逆に前回3月調査より3ポイント増加、47パーセントの高い数字を示している。

この世論調査が示す数字のギャップそのものに、安倍政権の強権的政治手法に戸惑いながらも従わざるを得ない国民有権者の戸惑いが見て取れよう。

 

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