2015年4月9日木曜日

法理を振りかざし道理を忘れた安倍政権の沖縄


 今週発売の週刊ポストが高市早苗総務相(54)のスキャンダルを報じている。三重県の農業法人が11、12年に日本政策金融公庫から融資を受けた際に実弟の秘書官が関与し、さらにその後、有志が悪化した同法人にスポンサー企業を紹介したなど、いわゆる口利き疑惑である。

 高市総務相は6日に緊急記者会見を行い「公的金融公庫の融資にあたかも高市大臣の秘書官が関与したと、読者に誤解を与える記事の組み立て。悪質な捏造(ねつぞう)記事だ。一点の曇りもない」と疑惑を全面否定した上、「民事訴訟と刑事告訴の準備をしている」と開き直った。

 むろん、法的手段を講じるのは万民に認められた権利だが、刑事告訴となればまずは原告にねつ造記事であることの立証が求められる。そうであれば、司法の判断に逃げ込む前に事実関係についてまずは国会の場で説明責任をはたすのが大臣としての正しい振る舞いである。

 為政者には「法理」と「道理」が求められよう。平たく言えば、法の制約と良識に則った言動である。この法理と道理のどちらか一方が欠けていても国民は政治への信頼を無くし、民主主義は成り立たない。

昨年秋以降、疑惑が指摘された閣僚の多くは「法的に問題はない」と言い逃れてきたが、大臣のイスにとどまるにせよ、辞めるにせよ、それがはたして道理に適ったものであったのかどうか。胸に手を当て自問してみることだ。

沖縄米軍普天間基地の辺野古移設問題に対する政府の対応もしかり。菅義偉官房長官は5日に行われた沖縄県の翁長雄志知事との会談で「日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険除去を考えたときに唯一の解決策だ」と述べ、日米安全保障条約の法理をかざして移設受け入れを迫った。

これに対して翁長知事は「県民に大きな苦しみを与え、世界で一番危険だから危険除去のために負担しろという話をすること自体が政治の堕落だ」と道理を説いた。

 戦後70年、かつて日本の民主主義政治がこれほどまでに道理とかい離し、背反した時代はない。行き着く先は道理なき安倍政権が今国会成立を目指す安保法制である。

 

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