2015年5月7日木曜日

事実婚を世界に宣言した日米共同ビジョン声明


 訪米中の安倍晋三首相は28日、オバマ米大統領と会談した。両首脳は「日米共同ビジョン声明」をまとめ世界に向けて日米両国のさらなる関係強化をアピールした。

 共同ビジョンは戦後70年を振り返り「日米両国はグローバルな問題及び我々の生き方の基礎となるルール、規範及び制度へのコミットメントに則り、ルールに基づく強固な国際秩序を構築することに共に寄与してきた」と自画自賛。今回の首脳会談が「日米のパートナーシップの変革における歴史的な前進を画するものである」として「21世紀における両国の安全及び繁栄は相互に絡み合い、切り離すことができず、国境のみによって定義されないものである」との認識を示した。

 つまりは極端な話、日米が事実上一つの国家であることを宣言したのにも等しいのである。

 俗な言い方をすれば、米軍兵士と日本人の通い妻が籍は入れずとも事実婚を宣言したようなものか。もっと言えば、同じ屋根の下で暮らし始めるらしいのだ。

 もちろん、同棲するにあたってのルールもちゃんとある。

 共同声明では「日米両国はグローバルな協力を拡大すべく努める上で、次の共有された原則に従う」として以下の7項目を掲げている。

○主権及び領土一体性の尊重

○紛争の平和的で強制によらない解決へのコミットメント

○民主主義,人権及び法の支配への支持

○開かれた市場,自由貿易,透明性のあるルール及び規制並びに高い労働及び環境基準を通じた経済的繁栄の拡大

○航行及び上空飛行の自由を含め,共有された領域における行動に関するグローバルに認められた,国際法に基づく規範の促進

○強固な地域・国際機関の促進

○志を同じくするパートナーとの三か国及び多国間協力への支持

 それはそれで結構なことだが、問題なのはその最大の眼目が先に日米が合意した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定を踏まえた軍事同盟の強化、一体化にある。

 周知のとおり、自衛隊の地球規模での展開を可能にする安保法制はまだ国会にも提出されていない。

「これから国会で議論することを国会や国民への説明なく約束してしまった。大問題だ」

  民主党の枝野幸男幹事長は29日、記者団を前にこう述べた。

また、「国会で議論もないままに、米国に誓約するのは、日本の独立と主権をないがしろにする異常な対米従属の姿勢だ」とは共産党の志位和夫委員長である。

まさに当事者の知らないところで勝手に進められた「共同ビジョン声明」。幸せになれる保証はどこにもない。

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