2015年7月21日火曜日

衆院審議で国民が確信した安倍の安保のデタラメ

「審議時間が100時間を超え、維新の党から対案が出されたこともあり、論点がだいぶ整理されている」
 菅義偉官房長官は13日の記者会見で安保関連法案の衆院審議についてこう述べた。同日には衆院採決の前提となる中央公聴会が開催されており、政府与党は早ければ15日にも強行採決に打って出る構えだ。
 確かに菅氏の言うとおり、100時間を超える国会審議で論点は整理されたが、政府が答弁を重ねる度に国民有権者の不安は募るばかりである。だからこそ、これまでに整理された論点の一つ一つを丁寧に洗い直し、国民有権者が理解し、納得する安保法制に仕上げることが政府与党に求められよう。
 たとえば、中央公聴会後に行われた安保法制特別委員会の審議では、政府与党が集団的自衛権の行使ができるとした「存立危機事態」の認定について、中谷元防衛相のしどろもどろの答弁で審議は度々中断した。
 先週10日、安倍晋三首相が「邦人輸送中やミサイル警戒中の米艦が攻撃される明白な危機がある段階で認定が可能」との発言を質したもの。これまでの安倍首相の答弁では、「米国への攻撃が発生した」場合と「日本に対する攻撃が予測されるか切迫している状況」が存立危機だと説明していたが、10日の答弁では米艦船にミサイルが発射される前でも自衛隊の武力行使は可能となる。
 中谷防衛相は「首相の見解はあくまで一例に過ぎない」と答弁したが、この一例を許すならば、つまりは時の政府が存立危機事態と判断すれば、自衛隊が先制攻撃を仕掛けることもできるのだ。もちろん、そんなことが現行憲法の解釈変更で許されるわけがなく、たとえ自衛のためであったとしても専制攻撃は国際社会が認めていない。
「決めるべき時には決める」とは、安保関連法案の採決時期を問われた安倍首相の言葉だが、国民世論に謙虚に耳を傾け今国会での成立を断念することこそが下すべき首相の決断であろう。

 

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