2015年9月19日土曜日

議会人としての良識疑う自民党の宦官政治

有価証券報告書の虚偽記載が発覚して2度にわたり決算修正を迫られた東芝が7日、15年3月連結決算で378億円の最終赤字に転落したことを発表した。
菅義偉官房長官はこの日の記者会見で「これまで市場に対し正確な情報が開示されてこなかったことは非常に問題がある」と述べ、同社の隠ぺい体質を厳しく批判した。
 しかしながら、今の政府与党に東芝の企業体質を批判する資格があるとは思えない。安倍晋三首相の顔色を伺い、過ちを正すことなく見て見ぬふりする。宦官のごときその振る舞いは東芝体質そのままである。
安保関連法制の国会審議はその最たるものだ。
先週末にNNNが行った世論調査でも安保関連法案の今国会成立に65・6%が反対、前月比7.8ポイントも増加している。しかも、内閣支持率はほぼ横ばいであり、不支持が大きく上回っている。さらには40%以上の国民が年内の安倍首相退陣を求めているのだ。
これだけでも安倍首相の暴走乱心を咎め正すに十分な世論調査の結果であろう。
安倍首相の再選が確実視される中、野田聖子元総務相を自民党総裁選への出馬に向かわせたものは、まさにこうした安倍首相の乱心暴走への危機意識の表れであった。
ところがどうだ。自民党内を見渡せば、各派閥のボスたちが我先にと安倍支持を打ち出し、一方で野田氏の出馬には批判の大合唱である。
「(野田氏は)総裁選をすることに意味があるというふうに言っているようですが、何を議論するかが重要であり、総裁選だけが議論の場ではない」
 安倍親衛隊を自認する稲田朋美政調会長は6日、記者団を前にこう述べ、野田氏の出馬に疑問を呈した。告示前、何を争点にするかは野田氏自身が出馬の際に語ること。野田氏からすれば、それこそ大きなお世話であろう。
 その他、野田氏の出馬に批判的な声の多くは「安保関連法案の審議に影響が出るから」と言うものだった。
 そうであれば、総裁選を急がず国会会期末に延期するべきだった。それをしなかったのは安倍首相が自民党総裁選で無投票再選を果たした後、安保関連法案の成立を9月末に予定している訪米の手土産にしたかったからに他ならない。
 ことほど左様に国民世論も国権の最高機関たる立法府の存在を蔑ろにする首相だが、これに唯々諾々従う自民党議員の有様はまさに宦官と呼ぶにふさわしい。政権与党の一員である前に議会人としての良識を疑う自民党総裁選のドタバタ劇である。

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