2015年9月5日土曜日

間違いだらけの安倍無投票再選

「民主主義の国の民主的な政党だから、きちんとしたルールの下で(総裁が)選ばれた方がいい」
9月に行われる自民党総裁選への出馬が取りざたされている野田聖子元郵政相は26日の講演でこう述べるに止めた。
国会が安保関連法案など重要法案の成否で重大な局面を迎える中、自らの身の振り方に言及するのは時期尚早との判断であろう。もう一人、野田氏と共に安倍晋三首相の有力対抗馬と目される石破茂司地方創生担当相にしても大手紙は連日、不出馬説を書きたてているが、本人は出馬するともしないともこれまで一度たりと言及していない。国会会期中、安倍内閣の一員であれば当然である。
ところがどうだ。自民党内は谷垣禎一幹事長をはじめ派閥領袖、実力者クラスが次々に安倍再選支持を表明。25日には二階俊博総務会長が「出る方はできるだけ早い機会に決断して、スタートを切らなければ間に合わない」とまで言うのである。
総裁選の日程すら決まっていないのにスタートを切るも切らないもなかろう。まるで他候補の出馬が迷惑と言わんばかりだ。
何より自民党議員は何を評価して安倍首相の再選支持を表明しているのか。安保関連法案は国民に背を向けられ、中韓両国との関係はかつてないほどに悪化、拉致問題、北方領土問題は解決の兆しすら見せていない。しかも、安倍政権発足以来の最大の課題とも言える経済再生は道半ば。内需主導の掛け声とは裏腹に国内消費はいっこうに上向かず、聞こえてくるのは金融バブルと輸出産業の歓喜の声ばかりだった。それも世界同時株安に見舞われ、
そろそろ見せかけの経済成長にも限界が見え始めている。総裁選を通じて安倍政権の3年間を総括し、議論することに何の躊躇があろう。
谷垣禎一幹事長は26日、公明党の井上義久幹事長との会談で「普通にいけば8日告示、20日投開票になる」と総裁日程に言及。その上で「参院の平和安全法制の行方がどうなるかも含めて、28日の選挙管理委員会で決める」と述べている。
しかしながら総裁選を急ぎやる理由はない。どさくさ紛れの安倍無投票再選は自民党にとって百害あって一利なし。国会会期末を待って堂々、総裁選を実施するべきだ。


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